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ラッセル 『西洋哲学史』 英語原書 [仕事場]

 バートランド・ラッセル著 『西洋哲学史』 はこの分野の書物としてはいろいろと賛否両論のあるもののようです。 哲学とはまるっきり縁のない私がこの本を知っているのは、大学の教養部で取った哲学の授業で参考図書として(教科書としてではない)紹介されていたから、というだけです。 

 最近はこの本のことを思い出すこともなくなっていたのですが、ひょんな事から、これの英語の原書を手に入れることになってしまいました。なぜって、こんな書評を目にしてしまったからです。

曰く、

 ラッセル「西洋哲学史」: これは、およそ英語で論文というものを書こうとする、すべての人
              の必読本である。 
                その文体は論理的な英語文というものの、これ以上ないお手本
              である。 また、必要以上に難しい語彙を一切使っておらず、平明で
              大変に読みやすい。
                (英国人である)書評者私自身が、英語のお手本として時々参照
              するほどである。

・・・ 云々。

そこでさっそく、勤め先の大学の生協に注文を入れておき、先日届きました。

Russell.jpg


 私はここのところ大学院生と「英語で科学論文を上手に書くには」みたいな本の輪読会をしておりました。
(とにかく、現在は論文は英語じゃないと書いたことにしてもらえず、日本語の論文は場合によっては業績評価に入れてもらえない事すらあるので、大学院生に英語論文の書き方を勉強させるのは必須です)
 その本の中に、イギリス人が「日本人研究者がよくやってくれる英語の間違いについて」という、イヤな一章を書いているのですが、 ・・・まあ、そこに挙げてある「間違いの例文」を読んでいると、過去に自分が書いたことのあるものばかりで、もう穴があったら入りたいのですが・・・  その章の最後をこう締めくくっていたのです(以下は厳密な引用ではなく、要点だけ私が適当に書き直しています);

 「・・・ とにかく、良い英語論文が書けるようになるには、良い英語論文をたくさん読むに限る。 でもあんたたちは、どれが良い英文かなんて分からないだろうから、私からおすすめをいくつかリストしてあげて、この章を終えることにしよう。」

 この「リスト」の一つとして載っていたのが上記の書評です。
 これを見て、久々に見る書名に懐かしさがこみ上げてきて、また英語のお手本にもなるのなら一石二鳥とばかりに、一気に手に入れてしまいました。

 教養部の時に読んだのはもちろん邦訳です。神保町をほっつき歩いて、店先のワゴンに入っていた格安中古本を見つけました。 市井三郎訳で、現在もなお みすず書房 から出版されているようです。内容はかなりあって上中下の三巻本です。
 当時、早速手にしたのは良かったのですが、・・・やっぱり難しすぎました。 結局、通読は現在に至るまで二十何年間か達成できていません。ただ、興味を引かれたところを、折に触れひろい読みを重ねておりました。

Russell-jp.jpg

 「個々の哲学者の思考を理解するためには、その当時の社会的な背景を同時に理解しなくてはならない」、という立場に立って書かれている本です。
 あと特徴があるとすれば、独断と偏見に近いことすらもある、ラッセル個人の見解が躊躇せずに述べられていることでしょうか。ただし、これが述べられる際には、「私見であるが」の前置きが必ず書かれているので、読者は一般的知識と、ラッセルの私的見解とを混同することはありません。

 そうそう、私がこの原書を手に入れたのは、英語の書き方の勉強をするためでした。
 でもまず、ちょっとのぞいてみよう、と思い、適当にページを開いてみたら、こんなことが書いてあるではないですか!
 「ソクラテス」の章で、この人物の思想についてはプラトンとクセノフォンの2名が伝えているが、「クセノフォンはプラトンほど癖がないから、クセノフォンの記述の方が信頼できる」、という一般見解に対してラッセルが反論を述べた後に続けている文章です;

"...  A stupid man's report of what a clever man says is never accurate, because he unconsciously translates what he hears into something that he can understand. I would rather be reported by my bitterest enemy among philosophers than by a friend innocent of philosophy. ... "
(stupid man がクセノフォン、 clever man がソクラテス、をそれぞれ指しているのは前後を読めば明らか)

私は学生への講義では、専門に分野についてできるだけ 「かみ砕いた」 話をするように心がけているつもりなのですが、その「かみ砕き」の結果がもしこのようであったとしたら・・・!!

 適当に開いたページにこんな突き刺さる言葉が書いてあるのだとすれば、最初から読んでいったらどんな事をこの本に言われるんだろう。 ある意味恐ろしい。
 うーん、本当に勉強の参考になりそうな本だ!!

研究室の新PC [仕事場]

 今日は、研究室に新しいPCを据え付けました。
 すでに月曜日に届いていたのですが、今週前半はいろいろと忙しなく、やれ接続だセットアップだ、ということが出来ずにいました。
 これまで研究室で使っていたPCはそろそろ6年前のもので、実用にはさしたる不便はないものの、大きな画像ファイルを扱ったりするのにはそろそろストレスを感じ始めていました。
 また、このように公共の場所に置いて複数の人間が使うPCというのは、それぞれの人の使い方が違うのでファイルの置き場所やアプリケーションの使い方などがどうしても雑然としてしまい、PCにはついつい余計な負担がかかってしまうものです。普通に考えればおよそ大したことのない作業においても、ハードディスクがカリカリ鳴っているだけで一向に処理が進行しない、といった状況がたびたび起きていました。
 と言うわけで、余っていた予算を使って、以前からお世話になっている秋葉原のパソコンショップにBTOをお願いし、このたび届いたのがこれです。

DSCF1396.JPG

 これまでのPCはWindows XP、メモリ512MB、ハードディスク80MB
      ↓
 今回は一気に、Windows7 / 64bit、メモリ8GB、ハードディスク1TB(データ保存用1TBをもう一台内蔵増設)

と、3階級か4階級特進となりました。ちなみにCPUは、私が個人的に気に入っているAMDのものです(私は個人用のPCもAMDのものを使っています)。

DSCF1397.JPG

 これだけのシステムで10万円しないのですから、PCの技術やグレードの進歩というものは、本当に素人の想像を絶するものだといつも思います。

 これまでのPCは、ケーブル類を全部はぎ取ってお役ご免・・・
DSCF1394.JPG
・・・ お疲れ様でした。

 来週研究室に来た大学院生たちもびっくりするでしょう。
 で、新しいPCがきたのを機会に、彼らを動員して最近散らかり気味の研究室を掃除し、PCともどもちょっと気分を入れ替えたいと思います。

 その前にOfficeやらなにやら、ソフトのインストールをしなければ・・・ まだ半日かかりそうだ。
 
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